外注やコンサルとの違いは、能力ではなく利害の向きにある

外注やコンサルとの違いは、能力ではなく利害の向きにある

期末の打ち合わせで、長く付き合ってきたパートナーが来期の提案を持ってきます。施策は今年より二つ増え、見積もりも一回り大きい。どの施策にも筋の通った理由があり、説明する担当者の熱意も本物です。それでも聞いている側の頭の片隅には、言葉にしにくい問いが残ります。今年やったことのうち、来年はやめてもいいものはなかったのだろうか。その問いを、この席で相手に投げてよいのかどうか。

外注やコンサルティングと、私たちGreatRIVERが「半内部」と呼ぶ関わり方との違いは、能力の高さではありません。外部の人が何を増やせば報酬が増えるのか、その仕組みが決める提案の向き、つまり利害の向きです。作業量や発注範囲で報酬が決まる関わり方では、提案は自然に「足す」方へ向かいます。週あたりの稼働で価格が決まり、評価がパフォーマンスそのものにある関わり方では、「減らす」「やめる」提案も同じ重さで出せる。どちらが誠実かという話ではなく、仕事の切り方がつくる構造の話です。

利害の向きとは、外部の人が何を増やせば報酬が増えるかによって決まる、その人の提案が自然に向かう方向のことです(GreatRIVER編集部)。

挿絵:机の向こうから厚い資料が渡され、受け取る側の手が止まっている

なぜいま、利害の向きで比べる必要があるのか

外部の専門人材を選ぶとき、多くの場合は能力、実績、単価で比べます。どれも欠かせない物差しですが、分かるのは相手に何ができるかで、相手の提案がどちらへ向かいやすいかまでは分かりません。

この違いが効いてくるのは、頼みたいことの中身が変わってきたからです。情報を集め、分析し、資料をつくる仕事は、生成AIによって速く安くなりました。外部に求めるものは「何をつくるか」から、「そもそも何を解くべきか」の問い直しへ移っています。問い直すと、施策を減らす、やめる、順番を入れ替えるという答えが出ることがあります。その答えを口にできる立場かどうかで、問い直しの価値は大きく変わります。

図:どちらを向いて報酬が決まるか(GreatRIVER作成)

外注は、作業量と発注範囲が増えるほど売上が上がる仕組みです。これは欠陥ではありません。つくるものが決まっている仕事を、確かに、期日どおりに仕上げてもらうための、分かりやすく合理的な契約の形です。ただ、その形のまま「何をつくるべきか」を相談すると、減らす提案は、自分の売上を減らす提案になります。内と外のあいだに境界ができると、そこに新しい利害と忖度が生まれる。誠実な人ほど、言いかけて飲み込みます。言いにくいことは、悪意ではなく、境界で止まるのです。

よくある誤解:利害の向きは、人柄や能力の話ではない

よく聞くのは、「外注先は自社の売上しか考えていない」という受け取り方です。冒頭の提案に、ごまかしは一つもありません。同じ人が別の契約の形で入れば、別の提案をする。変えるべきは相手への見方ではなく、相談の中身と契約の形の組み合わせです。

「コンサルティングは中立だから利害がない」という見方もあります。コンサルティングには、議論の外から全体を描き、論点と選択肢を整える強みがあります(内側で一緒に動かす関わり方は、伴走支援の定義で整理しました)。ただ、案件と範囲で契約する関わり方は、外注でもコンサルティングでも、依頼された範囲の中で最良の答えを出す方へ向かいます。範囲そのものを小さくする提案は、契約の外に出る話になります。

反対に、「社員なら利害は一致している」と考えることもできます。社員の利害は、たしかに組織の成果と同じ方向を向いています。それでも評価や上下関係の中では、言いにくいことがある。利害の向きが揃っていることと、言いにくいことを言える立場にあることは、別の条件です。半内部は、この二つを同時にそろえるための置き方だと私たちは考えています。

費用の見え方にも注意が要ります。半内部の人材は変動費として持てますが、それだけなら単なるコスト削減です。変動費として持てることに、知見が組織の内側に残ることが加わって、はじめて支出は投資になる。残らなければ、それは安い外注でしかありません。ここで言う知見は、成果物のことではなく、何を問い、なぜ決め、なぜ捨てたかという判断の型です。成果物はどの関わり方でも手元に残りますが、判断の型は、決める場に居合わせなければ移りにくい。外部人材のノウハウが引き継ぎ資料だけでは残らないのも、そのためです。

見分け方:パートナーに確かめる問い

利害の向きは、契約書の名前からは読み取れません。外注先でも、コンサルティング会社でも、私たちのような半内部の人材でも、同じ問いで確かめられます。

図:パートナーに確かめる問い(GreatRIVER作成)

価格が何で決まるかを聞けば、相手が量で報酬を得るのか、時間で得るのかが分かります。何が増えると売上が増えるかを聞けば、提案が向かいやすい方向が見えます。この一年で減らす提案、やめる提案を受け取ったことがあるかを振り返れば、言いにくいことが届く関係かどうかが分かります。そして、終わったあとに何が残るかを確かめれば、その支出が投資になるかどうかが見えてきます。

答えが量で報酬を得る形だったとしても、それは選ばない理由にはなりません。つくるものが決まっている仕事なら、その形がいちばん合っています。確かめたいのは、相談したいことと相手の利害の向きが噛み合っているかどうかです。何を任せ、何を手元で決めるかを先に書いておくと、この組み合わせは選びやすくなります(判断まで外に預けてしまう任せ方を、私たちは丸投げと呼んでいます)。

GreatRIVERの実践:利害の向きを、仕組みで保つ

利害の向きは、心がけだけでは保てません。私たちGreatRIVERは、関わり方の決まりそのものでこれを支えています。

価格は、人材のクラスと週あたりの稼働で決め、料金表で示しています。つくる量や施策の数によって報酬は変わりません。契約は業務委託契約で、半年契約と更新が基本です。毎月のフォローアップミーティングで人材のパフォーマンスを企業と共有し、状況に応じて人材の変更や調整を行います。制作物の納品が中心の案件は、半内部の席ではなく、アマナ本体で受けています。

もう一つ、隠さずに書いておきたいことがあります。半内部の人材にも利害はあります。関わりを続けたいという利害です。私たちは支援のゴールを、内製化にも、私たちが去ることにも置いていません。続けるかどうかを決める物差しは、外の視点が入りつづけているか、新しいプロジェクトが生まれつづけているか、という組織の状態です。続けたいという私たちの利害も、この物差しに照らせば、企業の側から確かめることができます。

半内部の人材が組織のどこに座り、何をするのかは、「半内部人材」の定義記事で詳しく扱っています。

挿絵:同じ側に並んで座り、一枚の短いリストに線を引いて減らしている

まとめ:能力を比べる前に、利害の向きを確かめる

外注やコンサルティングと半内部との違いは、能力の高さではなく、何が増えると報酬が増えるかで決まる利害の向きです。量で報酬が決まる形は、つくるものが決まっている仕事に合い、稼働で価格が決まりパフォーマンスで評価される形は、何を解くべきかから問い直す仕事に合います。どちらかが優れているのではなく、相談の中身との組み合わせで選ぶものです。

選ぶときは、価格の決まり方、売上が増える条件、減らす提案の有無、終わったあとに残るものを確かめる。費用を投資と呼べるのは、知見が内側に残るときだけです。

来期の提案を受け取ったら、施策の数や見積もりを見る前に、一つだけ尋ねてみる。今年やったことのうち、やめてもいいものはありましたか。その問いに、相手が迷わず答えられる関係かどうかです。

執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)

企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。

GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。

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