
創造性人材を分けるのは、職種ではなく問いを変える力
新しいプロジェクトに外から人を迎えることになり、人事と事業部が募集の要項を書いています。職種の欄で手が止まります。デザイナーと書けば制作の人が集まり、コンサルタントと書けば資料をまとめる人が来そうです。本当に頼みたいのは、いまの進め方そのものを問い直し、決まったことを形にし、終わったあとに考え方を残していくことなのに、それを一語で言い表す職種名が見つかりません。
見つからないのは、探している人が職種ではなく、組織への関わり方で決まる人だからです。私たちGreatRIVERは、そうした人を創造性人材と呼んでいます。何をつくれるかより先に、組織の問いをどう変えるかで関わる人です。
創造性人材とは、職種や肩書きではなく、「そもそも何を解くべきか」という組織の問いを変える力を起点に、視点を増やし、異質なものをつなぎ、形にし、組織に残すことで企業の内側に関わる人のことです(GreatRIVER編集部)。
創造性は力の名前、創造性人材は関わり方の名前
私たちは、創造性そのものを四つの働きの組み合わせとして定義しています。そこで扱ったのは、一人の中にある力の中身でした。創造性人材という言葉が指すのは、その力が組織の中でどう働くか、つまり関わり方のほうです。
同じ力を持っていても、関わり方によって、その力が届く範囲は大きく変わります。決まった制作物を納めるだけの関わり方では、問題に気づいても、それを口にする場面は発注の手前で終わっています。社員として長くいれば、評価や前例の中で、問い直す力は少しずつ鈍っていきます。私たちが創造性人材を職種で呼ばず関わり方で呼ぶのは、力が組織に届くかどうかを決めるのが、その人の座る場所と役割だからです。
なぜいま、職種ではなく関わり方で人を見るのか
職種の名前は、何をつくるかで仕事を切り分けるための言葉です。つくるものが先に決まっている仕事なら、それで足ります。けれど市場が成熟し、効率化を突き詰めるだけでは次の一手が見えにくくなったいま、企業が外に求めることは、何をつくるかの手前にある「何を解くべきか」の問い直しへ移っています。
問いの手前で迷っている組織が職種で人を探すと、答えのつくり手が集まります。つくり手が悪いのではありません。頼み方と、組織が迷っている場所がずれているのです。だから人を見る単位を、職種から、組織の問いにどう関わるかへ移す必要があると私たちは考えています。
創造性人材が組織に持ち込む五つの力
私たちは、創造性人材が企業に持ち込むものを五つの力で整理しています。

問いを変える力は、与えられた問題を解くだけでなく、「そもそも何を解くべきか」から考える力です。視点を増やす力は、異なる業界や専門、文化、経験を持ち込み、固まった見方を揺さぶります。異質なものをつなぐ力は、社内と社外、事業とデザイン、技術と文化、研究と顧客のように、分かれていた知をつなぎます。形にする力は、考えるだけで終わらせず、試作やブランド、サービス、体験、制度として具体化します。組織に残す力は、問い、判断基準、プロセス、知識、人のつながりを組織に蓄えます。
このうち、私たちが起点に置いているのが問いを変える力です。視点を増やすのも、異質なものをつなぐのも、問いが変わったときに初めて意味を持ちます。問いが変わらないまま形にすれば、出来のよい答えが一つ増えるだけです。そして変わった問いが組織に残らなければ、その人が去った翌月には元の問いに戻ります。五つの力は、問いを変えるところから始まり、組織に残すところで閉じる、ひと続きの働きだと考えています。
創造性人材は、制作職の言い換えではない
いちばん多い誤解は、これまで「クリエイター」と呼ばれてきた制作職の言い換えだという受け取り方です。デザイナーやアートディレクターが創造性人材であることは多くあります。ただ、肩書きがそうだから創造性人材なのではありません。編集者やプロジェクトマネージャー、研究職の人が、会議の問いを変えていることもあります。
イノベーション人材やDX人材と重ねて読まれることもあります。これらは多くの場合、特定の目的や技術の担い手を指す言葉です。創造性人材は、目的や技術を限らず、組織の問いへの関わり方で定義します。
創造性人材を、社内に一人いれば足りる特別な人と考えるのも、私たちの見方とは違います。問いを変える人がいても、変わった問いを形にする人や、それを残す仕組みがなければ、問いは会議室の中で止まります。要るのは一人の傑出した人より、五つの力がチームのどこかで働いている状態です。人を一人ずつ比べるより、チームの中でどの役割が空いているかを見るほうが、実際の判断には役立ちます。
見分け方は、その人が入った会議で何が変わったか
創造性人材かどうかは、経歴書を読むより、その人が加わった会議のあとで確かめるほうが確かです。経歴書に並ぶ職種や実績は、その人がどこで何をつくってきたかは教えてくれても、そこで問いが変わったかどうかまでは教えてくれません。

会議の冒頭で確かめる問いが、その人が来る前と違っているか。話に出てくる部署や専門の数が増えたか。議論が、言葉や絵や試作として手で触れられる形になったか。そして、その人がいない会議でも、同じ問い方が使われているか。
最後の点がいちばん大事です。その人がいる間だけ問いが変わるなら、力はまだ人に付いたままです。
GreatRIVERの実践:職種名からではなく、変えたい問いから人を組む
GreatRIVERは、アマナの中で創造性人材の循環を掲げる事業です。2026年9月時点で、94名のクリエイターが登録しています。職能はクリエイティブディレクター、ストラテジックプランナー、編集者、コミュニティマネージャー、プロジェクトマネージャーとさまざまですが、94名のうち79名(84%)は戦略と制作の両方を担えます。問いを変える側にも、形にする側にも立てる人が多いことは、五つの力をひと続きの働きとして見ている理由の一つです。事業の位置づけに循環という言葉を置いているのも、創造性人材は一社に固定されず、複数の組織を行き来しながら問いを変える力を保つと考えているからです。一つの組織に長くいるほど問い直す力が鈍るのは、迎える側だけでなく、創造性人材の側も同じです。
人を組むときは、職種名から始めません。成果から逆算して、どの会議でどんな問いを変える役割が要るかを先に描き、そのうえで候補者と面談します。参画した人は、チームの一員として定例や議論の場に加わり、そこで「そもそも何を解くのか」から立て直します。社員でも外注でもない半内部の立場に置くのは、問いを変える力が、社内の評価や受発注の関係の外にいるほうが働きやすいからです。
プロジェクトの間ずっと、何を学び、なぜ決め、なぜ捨てたかを記録することも続けています。五つめの「組織に残す」を、人の心がけではなく仕組みで支えるためです。
まとめ:職種の欄ではなく、変えてほしい問いを書く
創造性人材とは、職種や肩書きではなく、組織の問いを変える力を起点に、視点を増やし、異質なものをつなぎ、形にし、組織に残すことで企業の内側に関わる人です。創造性が力の名前なら、創造性人材は関わり方の名前です。
見分けるときは、経歴より、その人が加わった会議で問いが変わり、その問い方がその人のいない場でも使われているかを見ます。
募集の要項の職種欄で手が止まったら、そこは空けたまま、その人に変えてほしい問いを一行書いてみる。その一行が書けたとき、探している人の輪郭は、どの職種名よりはっきりします。
執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)
企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。
GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。
関連する記事
Download
資料ダウンロード
サービス内容や導入イメージを
まとめた資料をご用意しています。
サービス内容や導入イメージをまとめた資料をご用意しています。
GreatRIVERのサービス概要資料や、課題解決に有効な情報をまとめたホワイトペーパー、事例集などをダウンロードいただけます。サービスの全体像を知りたい際や、社内検討に向けた情報収集にも、ぜひご活用ください。
Download
Contact
お問い合わせ
採用、取材、協業についてお気軽にご連絡ください。
採用、取材、協業について
お気軽にご連絡ください。
GreatRIVERは、「いいクリエイターにアクセスしたい」と考える企業と「企業ともっと深く関わり、並走したい」と考えるクリエイターをつないでいます。クリエイティブ人材を求める企業の方でも、クリエイターとして参画したい方も、まずはお気軽にご連絡ください。クリエイティブファームとの競合や、メディア・団体との連携も歓迎しています。
Join / Ask