
伴走支援とコンサルティングの違いは、議論の中で一緒に決めるかどうか
最初のキックオフ。オンライン会議の画面に、見知らぬ名前が七つ並びます。契約の決め手は「伴走します」の一言でした。挨拶が一巡し、体制図が映り、それぞれの役割が順に紹介されていく。丁寧な立ち上がりです。それでも、この七人のうちの誰が来週からこちらの会議に出て、誰と一緒に何を決めていくのかは、まだ見えていません。
伴走支援とコンサルティングの違いは、関わる期間の長さや、並ぶ人数の多さではありません。外部の専門人材が議論の外に立ち、論点と選択肢を整えて渡すのか。議論の中に入り、当事者として一緒に決めるのか。違いは、どちら側に立っているかにあります。どちらが優れているという話ではなく、局面によって向き不向きが分かれる、関わり方の型の違いです。

伴走支援とは何か
伴走支援という言葉は広く使われるぶん、月に一度の相談相手を指すこともあれば、制作の進行管理を指すこともあります。ここでは、言葉の芯にあるものを一文で置いておきます。
伴走支援とは、外部の専門人材が企業のチームの一員として日々の会議や議論に加わり、提言で終わらせず、決めて動かすところまでを一緒に担う支援です(GreatRIVER編集部)。
なお、中小企業向けの公的な経営支援でも「伴走型支援」という言葉が使われますが、ここで扱うのは、企業が外部の専門人材を社内のチームに迎えて進める支援です。
芯にあるのは、二つの振る舞いです。一つは、チームの一員として、社員と同じ議論に同じ頻度で加わること。もう一つは、議論の当事者になること。意見を述べ、反論を受け、ときには自分の案を引っ込める。結論のどこかに自分の考えが入っているから、決まったことを自分の仕事として持ち帰れます。会議に出て、決め、動かして確かめ、振り返って体制を組み替え、また次の会議に出る。伴走支援は、この回り方そのものです。

中心に置いたのは「同じチーム」という言葉です。依頼と納品の関係ではなく、同じチームでつくる。決めて動かす局面が変われば、議論の中に必要な人も変わるので、振り返りの段では顔ぶれも組み替えます。
GreatRIVERでは、この関わり方を、社員でも外注でもない「半内部」の立場と呼んでいます。アマナとの業務委託契約のもとで、創造性人材が企業のチームに加わり、日々の会議や意思決定に参画する。雇用の内側にはいないけれど、議論の内側にはいる。伴走支援という言葉に私たちが込めているのは、この立ち位置のことです。
伴走支援とコンサルティングの違い:四つの軸で比べる
ここで比べるのは会社の種類ではありません。提言のあとに現場へ入り実行まで担うコンサルティングもあれば、伴走を名乗りながら外から助言を重ねる支援もある。比べているのは看板ではなく、関わり方の型です。図には、外部の知見を届けるもう一つの手段として、研修もあわせて並べておきます。

どこにいるか
コンサルティングの専門家は、議論の外に立ちます。社内の事情から離れて全体を見渡し、論点と選択肢を示す。短い期間で網羅的に分析できるのは、この立ち位置の強みです。研修の講師は、さらに一歩引いた場所から、多くの人に同じ知識と型を届けます。伴走支援の人材は議論の中にいて、視野が狭くなるかわりに、言葉にされなかった迷いや決めきれない理由の手触りに近づけます。
何を成果として渡すか
コンサルティングが渡すのは、整理された論点と選択肢、その根拠です。報告書として形になるので、後から確かめやすく、社内で説明するときにも検討の筋道をそのまま示せます。伴走支援が渡すのは、一緒に下した決定と、それを動かした結果で、文書の形をとりにくい。何を一緒に決めたのかをその都度言葉にしておかないと、半年後に「何をしてもらったのか」が説明できなくなります。
どの局面に向くか
事業の方向そのものが見えず、全体像を描き直す局面では、議論の外から全体を描く力が要ります。方向は見えているのに決めきれない、決めたことが動いていかない局面では、選択肢を増やす人より、議論の中で一緒に選ぶ人が必要です。
終わったあとに社内でどう続くか
コンサルティングのあとは、提言を自分たちの判断に置き換えて動かせる人が社内にいるかどうかが、成果を分けます。伴走支援では、決める過程に社員も加わっているので、なぜそう決めたのかを社員自身が覚えています。ただ、外部の人材が議論を引き取りすぎると、終わったあとに残るのは、頼れる人がいなくなった会議です。
伴走支援で起きやすいこと:「伴走」と言いながら、人が増える
七つの名前が並んだ、あの画面。私たちは受発注という商習慣が生む症状の一つとして、「伴走と言いながら、人が増える」ことを挙げてきました。責任を分散させるために、本来必要な稼働と人員の外側にも人が並ぶ。足すたびに安心は増えますが、議論の中にいる人が増えるとは限りません。
大きな取り組みには多くの専門性が要るので、名前が並ぶこと自体が悪いわけではありません。確かめたいのは、そのうちの誰が会議で意見を述べ、決まったことを自分の仕事として持ち帰るのか、画面の中でその人の名前を指せるかどうかです。伴走支援の価値は、何人いるかではなく、何を一緒に決めたかで測るものです。
伴走支援とコンサルティングの使い分け
使い分けの起点は、支援会社の比較ではなく、いまの局面の見立てです。全体の見取り図が足りないなら、コンサルティングが力を発揮します。共通の言葉が足りないなら、研修が向いています。部署や立場の違う人たちが同じ型で話せるようになると、その後の議論の足場ができます。方向も言葉も揃っているのに決めきれず、動かないなら、伴走支援です。議論の中に当事者がもう一人いることで、決める速さと確かさが変わります。
同じ事業の中でも局面は移り、伴走の中で全体を描き直す必要に気づくこともあるでしょう。一つの関わり方で最初から最後までを賄おうとすると、どこかの局面で無理が出ます。どの型にも、得意な局面と、そうでない局面があるからです。
伴走支援を選ぶときに確かめること
契約の前に確かめておきたいのは、誰が日々の会議に出るのかが、名前で分かるかどうかです。キックオフに並ぶ名前と、翌週からの会議に出る名前が同じとは限りません。ここが曖昧なまま始まると、伴走の看板の下で、外からの助言が続くことになります。
そのうえで、この半年で一緒に決めたいことを二つか三つ、最初に言葉にしておく。途中の振り返りにも、終わったあとの説明にも、立ち返る場所ができます。外部の人が当事者として加われるよう、社内の資料や会議をどこまで開けるか、反対意見を歓迎できるかは、受け入れる側で確かめておきたいところです。

まとめ:局面で使い分け、同じチームで決める
伴走支援とコンサルティングは、立つ側が違う二つの関わり方です。議論の外から全体を描くのか、議論の中で一緒に決めるのか。研修を加えれば、知識と型を広く届ける三つ目の手段が並びます。
全体を描き直す局面には、コンサルティング。型を広く届けたいなら、研修。決めて動かす局面には、伴走支援。どれが優れているかではなく、いまの局面に足りないのが、見取り図なのか、共通の言葉なのか、一緒に決める人なのかで選ぶものです。
執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)
企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。
GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。
Download
資料ダウンロード
サービス内容や導入イメージを
まとめた資料をご用意しています。
サービス内容や導入イメージをまとめた資料をご用意しています。
GreatRIVERのサービス概要資料や、課題解決に有効な情報をまとめたホワイトペーパー、事例集などをダウンロードいただけます。サービスの全体像を知りたい際や、社内検討に向けた情報収集にも、ぜひご活用ください。
Download
Contact
お問い合わせ
採用、取材、協業についてお気軽にご連絡ください。
採用、取材、協業について
お気軽にご連絡ください。
GreatRIVERは、「いいクリエイターにアクセスしたい」と考える企業と「企業ともっと深く関わり、並走したい」と考えるクリエイターをつないでいます。クリエイティブ人材を求める企業の方でも、クリエイターとして参画したい方も、まずはお気軽にご連絡ください。クリエイティブファームとの競合や、メディア・団体との連携も歓迎しています。
Join / Ask