
外部人材の稼働が活きないとき、待ち時間は社内で生まれている
月末に、外部の専門人材から稼働報告が届きます。日付ごとに作業と時間が並んだ表で、火曜の欄にも、その次の木曜の欄にも、「確認待ち」の四文字が出てきます。どの日も、契約で押さえた時間は過ぎています。表を閉じかけて、気づきます。この人が待っていた確認は、どれも社内に出したものでした。
外部人材の稼働が活きない理由は、多くの場合、本人の手の遅さでも、迎えた側の段取りの悪さでもありません。仕事が生まれてから外部人材の手元に届くまでに、社内の誰かを何度経由するか。そして、契約で押さえた時間を一週間のどこに置いているか。待ち時間は、この二つから生まれます。業務委託で迎えた人をどこか持て余していると感じたときに最初に見たいのは、人ではなく、仕事の届き方と時間の置き方です。

外部人材の稼働が活きない理由
外部の専門人材を迎えて最初の数週間、頼んだ仕事はすぐ戻ってくるのに次の仕事がなかなか渡らない、あるいは渡した仕事の確認が社内で回っているあいだ相手が先へ進めない、という時期があります。こうした時間を、ここでは待機時間と呼んでおきます。
外部人材の稼働が活きない主な理由は、仕事が社内を経由して届くまでの道のりと、契約した時間の置き方から生まれる待機時間にあります。待機時間とは、契約で押さえた稼働時間のうち、仕事が届くのを待っている時間のことです(GreatRIVER編集部)。
待ちには、仕事が届くまでの行きと、出したものが確認を経て戻るまでの帰りがあります。稼働報告の「確認待ち」は、たいてい帰りの待ちです。どちらも外部人材の手元ではなく、社内の経路の上で起きています。だから稼働の量を増やしても、人を替えても、道のりが同じなら待ちも同じだけ残ります。立て直しは、一つの仕事がどう届くのかをたどるところから始まります。
一つの仕事が、外部人材に届くまで
外部人材に届く仕事の多くは、営業の担当者が顧客から聞いた一言、経営層からの短い指示、別の部署からの問い合わせのように、社内のあちこちで生まれます。生まれた時点でその中身をいちばんよく知っているのは、その場にいる人で、言葉になっていない手がかりもまだ手元に残っています。
ただ多くの組織では、外部人材とのやりとりを、受け入れを担当する一人の社員に集めています。担当者は届いた仕事をほかの仕事と並べ、優先順位をつけ、関係部署に事情を確かめる。自分の業務の合間に進めるので、まとめる作業は数日に一度になりがちです。とはいえ、一人に集めるのは手際の問題ではありません。社外に渡す情報を管理し、外に出す前に品質を確かめ、依頼が四方から届いて外部人材の側で優先順位がつけられなくなるのを防ぐ。どれも欠かせない配慮です。
まとめた仕事は、背景を書き添え、期日を決め、場合によっては上長の了承を取って依頼に整えられます。整えるほど分かりやすくなる一方、届くまでの日数は延び、生まれた場所にあった手がかりは少しずつ落ちていきます。この経路は迎える前に決まっていることが少なく、たいていは担当者の判断に任されたまま動き出します。そして出したものは、担当者が受け取り、関係者に回し、意見をまとめて返すという同じ道のりを逆にたどります。そのあいだ、外部人材の手元には先へ進む材料がありません。

金曜の午後に営業の担当者が受けた顧客の一言を、図の二つの道に乗せてみます。担当者を経由する道では、一言は週明けにほかの仕事とまとめられ、依頼として整えられてから届きます。経由が一段増えるごとに、待ちは積み上がります。生まれた場所で持つ人が決まる道では、その日のうちに、顧客の言い回しごと外部人材の手元に届きます。違いは、担当者を外すことではなく、担当者が束ねる仕事と、生まれた場所から直接届けてよい仕事を、あらかじめ分けておくことにあります。情報の管理や品質の確認が欠かせない仕事は、担当者を経由するほうが確かです。
業務委託の稼働時間は、量より置き方
待ちを生むもう一つのものは、契約で押さえた時間の置き方です。業務委託の稼働はよく「週に何日」で決め、たとえば毎週火曜と木曜の終日、と曜日で置きます。社内の誰もがその日なら連絡がつくと分かり、資料づくりや調べもののような腰を据える作業にも向いた、始めやすく続けやすい置き方です。
ただ、仕事は曜日を選んで生まれてはくれません。金曜に生まれた仕事は次の火曜まで手つかずのままで、火曜に出したものの確認が木曜までに戻らなければ、押さえた終日の何時間かは確認を待つ時間になります。時間の総量は足りているのに、仕事が生まれる時刻と手が空いている時刻がかみ合わない。待ちは、このずれからも生まれます。
もう一つの置き方は、同じ時間を半日ずつ四日に分けるように、仕事の生まれ方に合わせて時間を分けることです。仕事が外部人材に触れるまでの間隔が短くなり、確認の行き来も一日のうちに回りやすくなる。そのかわり、まとまった時間は取りにくくなります。どちらが優れているかではなく、担う仕事の生まれ方に合っているかどうかで選ぶものです。

左の置き方から始めて、待ちの現れ方を見ながら右へ寄せていく順でも構いません。右側でいちばん効くのは、待ちの理由を書き残すことです。リモートで働いてもらう場合は、どの連絡手段で誰が直接頼んでよいのか、共有資料のどこまでを見られるようにするのかを先に決めておくことが、時間の置き方と同じくらい効いてきます。
GreatRIVERでは、働き方をリモート中心にし、稼働時間も一週間の中で分けて置けるようにしています(たとえば週16時間を、4時間ずつ4日に)。体制と稼働日数は、最初の30日で見極めてから確定します。
最初の30日で、置き方を見直す
仕事がどこで生まれ、どの経路を通って届くのかは、実際に動き出してみないと見えません。そこで、最初の一ヶ月を見直しの期間と決めておく進め方があります。
材料は、稼働報告の「待ち」です。数えるだけでなく、何を、誰から待っていたかを見ます。依頼を待つ日が多いなら、生まれた場所から直接届けてよい仕事を決める。確認を待つ日が多いなら、確認する人を絞るか、確認の時刻を稼働時間に合わせる。資料を見る許可を待つ日が多いなら、最初に見られる範囲を広げておく。どれも社内で変えられることですが、誰がどこまで直接頼めるか、時間をどう置くかは契約の形によって変わるので、契約の範囲の中で相手と相談して決めます。
参画の前にも、面談でスキルや経歴だけでなく、どんな課題に向き合ってもらうのかのイメージをすり合わせておけます。課題を先に共有しておくと、外部人材は依頼が届く前から次に要りそうなものの見当をつけて準備でき、届くのをただ待つ時間は少しずつ減っていきます。

まとめ:届き方と置き方から、待ちを見直す
外部人材の稼働が活きないとき、手が空いているように見えるのは外部人材の側です。けれど、その時間を生んでいるのは、たいてい仕事が届くまでの道のりと、契約した時間の置き方です。
一つの仕事が生まれてから届き、戻ってくるまでをたどる。担当者が束ねる仕事と、生まれた場所から直接届けてよい仕事を分ける。時間を曜日で押さえるだけでなく、仕事の生まれ方に合わせて置く。そして最初の30日、稼働報告の待ちの中身を見て、置き方を組み替える。
稼働報告に並ぶ「確認待ち」の文字は、経路のどこで時間がかかっているかを教えてくれます。待っていた時間は、怠けた時間ではなく、届かなかった時間です。
執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)
企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。
GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。
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