
AI時代、ビジネスパーソンとクリエイターの創造性はどう近づいたのか?

「仕組みをつくる力」と、「心を動かす力」
ビジネスパーソンとクリエイターの創造性は、長いあいだ別の言葉で語られてきた。ビジネスパーソンの創造性は、課題を見つけ、それを解く仕組みをつくる力。クリエイターの創造性は、新しい表現で、人の心を動かす力。どちらも欠かせない力で、ただ向いている先が違っていた。
二つのあいだには、厚い作業の層があった。情報を集める、データを分析する、アイデアを出す、文章や画像や動画をつくる、定型の業務を回す。こうした専門的な作業を、それぞれが自分の持ち場で担ってきた。作業に通じていることが専門性の証であり、同時に、二つの職能を隔てる距離にもなっていた。
いま、その作業の多くをAIが引き受けはじめている。手を動かす部分が軽くなると、二つの創造性の手前にあったものが、互いに見えるようになる。
GreatRIVERは、作業の多くがAIに移ったあと、ビジネスパーソンとクリエイターのあいだに共通して残る、問いを見つけ、意味を組み直し、新しい価値を生む力を、「重なる創造性」と呼ぶ。

離れて並んでいた二本の線は、あいだを埋めていた作業の帯がほどけるにつれて、少しずつ近づいていく。重なったところに立つのは、どちらか一方の持ち物ではない、一つの点だ。
「作業の帯」が、ほどけるとき
答えるべき問いがすでに決まっている仕事ほど、AIは速く、安く引き受ける。調べてまとめる、比べて示す、案をいくつも並べる。そうした仕事のコストは、これからも下がりつづけるだろう。
そのとき、ビジネスパーソンの創造性の重心は、課題を見つけて仕組みをつくることから、問いを立て、意味をつくることへ移っていく。何を解くべきか。それは誰にとって、どんな意味を持つのか。クリエイターの創造性の重心も、表現の手数から、価値をつくることへ寄っていく。どう見せるかの前に、なぜそれを世に出すのかを考える仕事だ。
二つが近づいたのは、どちらかがもう一方の仕事を覚えたからではない。両方が、作業の手前にある同じ場所へ歩いていったからだ。問いを見つけ、意味を組み直し、新しい価値を生む。その場所では、出発点の違う二人が、同じ問いの前に並ぶことになる。
重なっても、「同じ」にはならない
ただ、ここで立ち止まって考えたいことがある。重なるとは、二つの職能の違いがなくなっていくことなのだろうか。
GreatRIVERは、そうは見ていない。重なるのは土台であって、両端は残る。ビジネスパーソンの側には、社会や市場や組織を動かす視点がある。クリエイターの側には、感性と美意識、そして表現の力がある。同じ問いの前に立っても、見えるものは違う。違いが残っているからこそ、並んで考える意味が生まれる。全員が同じ力に寄っていくなら、一人いれば足りてしまうだろう。
近い言葉とも、持ち場が少しずつ違う。GreatRIVERは創造性を、問題を発見し、前提を疑い、異なるものを結びつけ、未来を構想して実装する、四つの働きの組み合わせとして捉えている。重なる創造性が指すのは、その力の中身より、二つの職能が近づいていく動きのほうだ。クリエイティブメッシュは組織の上に質の違うつながりを重ねる考え方で、越境は、一人が専門を足場に別の領域の判断へ入っていくことを指す。重なる創造性は、そうしたつながりや越境が言葉を交わせる、共通の足場にあたるのかもしれない。
「どちらの人か」より、「どこで重なるか」
GreatRIVERでは、社員でも外注でもない立場で、異なる専門性を持つ創造性人材がチームとして企業に参画する。2026年9月時点で登録する94名には、ストラテジックプランナーやビジネスプロデューサーもいれば、アートディレクターや編集者もいる。79名は、戦略と制作の両方を担える。
ただ、人を組むときに見ているのは、誰がビジネス寄りで誰が表現寄りかという区分だけではない。社員と創造性人材が同じチームで日々の会議に加わり、同じ問いを前に考える。そのとき、市場を読む目と、人の心の動きを読む目が、一つの問いの上で出会う。異なる専門性を持つ人どうしが、共通の創造性を土台に協働する。GreatRIVERは、そこに新しい可能性が生まれると考えている。

同じ問いの前に、並んで立つ
重なる創造性とは、作業の多くがAIに移ったあと、ビジネスパーソンとクリエイターに共通して残る、問いを見つけ、意味を組み直し、新しい価値を生む力だ。二つの職能はなくならない。その土台の上で、互いに近づいていく。
手元の仕事を一つ選び、AIに任せられる作業を一つずつ外してみる。最後に残った部分に、隣の職能の人と話してみたい問いがあるなら、そこが重なりの入口なのかもしれない。
執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)
企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。
GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。
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