何が、外注やコンサルと違うのか。半内部人材を分ける「利害の向き」

何が、外注やコンサルと違うのか。半内部人材を分ける「利害の向き」

「今年やったことのうち、来年はやめていいものはありますか」

期末の打ち合わせで、その一言が喉まで出かかる。長く付き合ってきたパートナーが持ってきた来期の提案は、施策が二つ増え、見積もりも一回り大きい。どの施策にも筋の通った理由があり、説明する担当者の熱意も本物だ。だからこそ、やめる話をこの席で切り出してよいのか、迷ってしまう。

社員でも外注でもない立場で議論の内側に入る人は、外注やコンサルティングと、何が違うのか。

写真:思い思いの方向へ散っていく鳥の群れ(Photo: Bernard Hermant / Unsplash)

能力ではなく、「向き」の違い

GreatRIVERは、創造性人材が週1〜2日を中心に数か月、企業の会議や意思決定にチームの一員として加わる関わり方を続けてきた。どこに座り、何をするのかは「半内部人材」に書いた。

外注やコンサルティングとの違いを問われたとき、GreatRIVERは能力の高さでは答えない。外部の人が何を増やせば報酬が増えるのか。その仕組みによって決まる、提案が自然に向かう方向を、GreatRIVERは「利害の向き」と呼ぶ。誠実さや腕前の差ではない。仕事の切り方がつくる、構造の違いである。

外部の専門人材を選ぶとき、多くは能力、実績、単価で比べる。どれも欠かせない物差しだが、分かるのは相手に何ができるかまでで、提案がどちらへ向かいやすいかは見えてこない。

何が増えると、報酬が増えるのか

外注は、作業量と発注範囲が増えるほど売上が上がる仕組みだ。欠陥ではない。つくるものが決まった仕事を、確かに期日どおりに仕上げてもらうための、分かりやすく合理的な形である。ただ、その形のまま「何をつくるべきか」を相談すると、減らす提案は、自分の売上を減らす提案になる。

コンサルティングには、議論の外から全体を描き、論点と選択肢を整える強みがある。ただ、案件と範囲で引き受ける形では、依頼された範囲の中で最良の答えを出す方へ向かいやすい。範囲そのものを小さくする提案は、契約の外の話になる。

半内部人材の価格は、週あたりの稼働で決まる。評価されるのはパフォーマンスそのものだ。施策を増やしても報酬は変わらないから、やめる提案も、足す提案と同じ重さで出せる。利害が、組織の成果と同じ方向を向く。

図:作業量と範囲で報酬が増える形では提案の向きがばらけ、稼働で価格が決まり成果で評価される形では、提案が組織の成果の方へそろう(GreatRIVER作成)

「そろっている」と「言える」のあいだ

ただ、ここで立ち止まって考えたいことがある。利害の向きが組織とそろっていれば、それだけで言いにくいことは言えるのだろうか。

社員の利害は、もともと組織の成果と同じ方向を向いている。それでも評価や上下関係の中では、本質的な問いほど口にしにくい。内と外のあいだに境界ができれば、そこには新しい利害と忖度が生まれる。誠実な人ほど、言いかけて飲み込む。向きがそろっていることと、言いにくいことを言える立場にあることは、別の条件なのだ。半内部人材は、この二つを同時にそろえるための置き方である。

だから、外注やコンサルティングを退ける話ではない。仕様の決まった制作は、外注に任せることで質も速さも上がる。利害から離れて全体を見渡してほしいときは、コンサルティングの視点が生きる。問い直したい仕事を、量で報酬が決まる形のまま渡すと、相手がどれほど誠実でも提案は足す方へ寄っていく。確かめたいのは、相談の中身と相手の向きが噛み合っているかどうかだ。

仕組みで保つ「向き」

利害の向きは、心がけだけでは保てない。GreatRIVERは、関わり方の決まりで支えている。価格は人材のクラスと週あたりの稼働で決め、料金表で示す。契約は業務委託で、半年契約と更新が基本だ。毎月、人材のパフォーマンスを企業と共有し、状況に応じて人を組み替える。制作物の納品が中心の案件は、アマナ本体で受けている。

構えでも支える。GreatRIVERの人材が大切にしていることの一つに、「全力で、入り込む。」がある。向きがそろっていても、遠慮していれば、減らす提案は口から出てこないからだ。

変動費として持てるだけなら、コストの工夫にすぎない。何を問い、なぜ決め、なぜ捨てたかという判断の型が組織に残ってはじめて、支出は投資になる。これは「組織の暗黙知」の話でもある。

隠さずに書けば、半内部人材にも利害はある。関わりを続けたいという利害だ。だからGreatRIVERは、続けるかどうかの物差しを、組織が「澱んでいないか」に置いている。

写真:同じ方へ連なって飛ぶ鳥(Photo: Megha Ajith / Unsplash)

「やめていいもの」を尋ねられる関係

利害の向きとは、何が増えると報酬が増えるかによって決まる、提案が自然に向かう方向のことだ。どちらの関わり方が優れているかではなく、相談の中身との組み合わせで選ぶものである。

来期の提案を受け取ったら、見積もりを開く前に、一つだけ尋ねてみる。今年やったことのうち、やめてもいいものはあったか。相手が迷わず答えられるかどうかに、その関係の向きが映っているはずだ。

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執筆:杉山 諒(株式会社アマナ/プロジェクトデザイナー・GreatRIVER主宰)

企業のブランディングや新規事業開発、人材育成など幅広いプロジェクトに参画し、プランニング・ファシリテーションを中心に企画・設計に従事。クリエイティブ人材育成プログラムamana Creative Camp、創造性人材循環事業GreatRIVERを主宰。認知科学コーチ。

GreatRIVERは、プロジェクトデザイナーをはじめとする創造性人材がチームで参画し、構想と推進の両面から企業のプロジェクトに内側から伴走するサービスです。まずは停滞しているプロジェクトの見立てからで構いません。